旧帝大卒が選ぶ!考えさせられるマンガ5選
皆さんはマンガが好きですか?私は大大大好きです!!
もう30歳になるというのに未だにマンガを読むのを辞めることはできません。
昔はマンガなんて子供の読み物としてとらえられていましたが、現代におけるマンガというものはもう日本文化に欠かせないものとなっています。
マンガの中には洗練されたものも多く、「このマンガは小説顔負けで深いマンガだ!」なんてマンガを知っている方も多いのではないでしょうか?
私はそんな面白いマンガを知りたいのですが、ネットで調べてみると、とにかくマンガを紹介するサイトが乱立していてどれを読めばいいのか分からないんですよね。
読んでみるとがっかりさせられるようなマンガが多いのも確かです。
マンガが扱えるテーマにはほとんど制限がないという部分はいいことですが、そのすそ野が広い為面白いマンガを発見するというのも難しいんですよね・・
なので、私は「面白い」というかなり大きなテーマで扱うのではなく、テーマを絞ってマンガを紹介したいと思います。
今回はマンガ好きな私が考えさせられるマンガというテーマで紹介します。考えさせられるマンガとは、作者の強いメッセージ性があると言い換えてもいいかもしれません。
たくさんのマンガを紹介するのではなく、なるべく作品も絞って、その分たくさんの魅力を伝えられたらいいなと思います。
ネタばれも最小限に抑えるように努力します(´・ω・`)
ちなみに筆者はギリギリ20代男性なので、女性の方や年代の違う男性とは少し感性がずれてしまうかもしれませんがご了承ください。
考えさせられるマンガ5選
1.暗殺教室 完結済み(全21巻) 松井優征(著)
暗殺教室 コミック 全21巻完結セット (ジャンプコミックス)
1作目は暗殺教室です。
概要
ある日突然タコのような生物が月を壊し、その生物がとある落ちこぼれクラスに先生(殺せんせー)としてやってくる。
落ちこぼれクラスのミッションは先生を暗殺すること。殺せんせーと生徒たちの奇妙な関係が始まる。
なんとも奇抜な設定です。
殺せんせーは月を壊すような先生ですから身体能力は人間の比ではありませんし、頭もものすごいいいです。
そんな先生が、なぜか自分の暗殺方法を教えつつ、落ちこぼれ生徒たちに勉強や勉強以外の大事なことを教えていきます。
なぜ先生はタコみたいなのか?なぜ落ちこぼれクラスにやってきたのか?なぜ自分を暗殺させようとしているのか?
様々な謎をはらんだまま物語は進行していく、ギャグ要素もあるマンガですね。
このマンガの中では、現代の子供や親、教師が持つ様々な課題が取り上げられています。
心の弱い子供や自分の夢を子供に押し付ける親、自分の教育論を絶対だと考える教師。そういった問題に対する考えを筆者が殺せんせーを通して伝えているようにも感じます。
ふざけた絵の表紙である為、大人は手に取りずらいかもしれませんが、扱うテーマは面白いので大人にも読んでもらいたい作品ですね。
2.デスノート 完結済み(全12巻+13巻) 小畑健(著), 大場つぐみ(原著)
DEATH NOTE コミック 全12巻完結+13巻セット (ジャンプ・コミックス)
2作目はデスノートです。
もはや説明不要の人気漫画ですよね。
概要
人の名前を知っただけでその人を殺す力を持つ「デスノート」が主人公である天才高校生、夜神月(やがみらいと)の下に渡り、月(らいと)は世直しの為に極悪犯罪者をデスノートで殺していく。
そんな月の存在に気付き、通称Lと呼ばれる天才探偵は間違った世直しをしている月を逮捕する為、捜査に乗り出す。
この作品の魅力は圧倒的な心理戦です。
天才同士が腹を探り合い、罠を仕掛け合うという攻防がなんとも面白いのです。ただ、マンガと思って読んでしまうと文字数の多さにやられてしまうかもしれません笑
死を扱っているマンガなだけに、テーマは重いです。
まず誰でも読み終わった後に考えるのは「果たして月は悪なのか?」ですね。
悪い人間がいなくなれば良いと思うのは誰でも思うことでしょう。しかし、そんな人間を殺すということは正しいことなのでしょうか?
マンガの世界ではデスノートで殺していますが、日本の裁判官も死刑という宣告をして人を殺します。また、裁判員制度では、我々市民ですら犯罪者に対する生殺与奪権を持っています。
デスノートの中では更生を考えている登場人物はいなかったですが、本気で構成する気の人間も無慈悲に死刑を下してもいいのでしょうか?
しっかり考えなきゃいけないテーマですよね。
また、過度な力を持つ危険性というのもこのマンガでは教えてくれています。
主人公の月は探偵Lを騙す為にデスノートの所有権を放棄し、デスノートに関する記憶を失う(デスノートの所有権を失ったら記憶を失うという設定なのでここは深く考えないでください)という選択を作中でします。
記憶を失った月というのは、まさにデスノートを手にしなかった時になっていたであろう月そのものです。いくら悪人を裁いているとはいえ、人を殺すという行為をしているノート所有者に激しい怒りを持っており、探偵Lと共にその悪の捜索を試みます。作中では探偵Lよりも寧ろ倫理的に正しいことを考え、実行するのです。
つまり、デスノートに関する記憶を失った月はまさに正義の人物なのです。
しかしそんな月についてよくよく考えてみると、最初は悪人がいなくなればいい社会になるという理念を持ってデスノートを使っていたものの、どんどんデスノートを保身のために使うようになっていきます。
聖人君子も過ぎた力を持ってしまった場合、簡単に人間が変わってしまうという危険性について警告をしてくれているようですね。
3.人間失格 完結済み(全3巻) 古屋兎丸(著), 太宰治(原著)
人間失格 コミック 全3巻完結セット (BUNCH COMICS)
3作目は人間失格です。
太宰治の名作である人間失格を現代版としてマンガにしたものですね。普通に携帯とかでてきます笑
小説でしたらkindleを用いて無料で読むことができますが、活字は嫌いだという方はマンガで読んで下さい。
(関連記事:電子書籍なしに昔の本を無料で読む方法、Kindle(電子書籍)レビュー【Amazon】)
概要
裕福な家庭に生まれた主人公大庭葉蔵は幼い頃から道化を演じ、本性を見せない男であった。
お金を持った家庭に生まれて、容姿も端麗な主人公はどんどん人間として落ちて行ってしまう・・
これだけの名作なので、私が色々書くのも無粋でしょう。
ただ、私は太宰治が入水自殺をしたという人生と人間失格という作品を読んで「人間考え過ぎるとロクなことにならない」ということを学びました。
生きる意味とか深く考えず、楽観的に生きるのが人生を楽しむコツですよね♪笑
4.寄生獣 完結済み(全10巻) 岩明均(著)
寄生獣 新装版 コミック 全10巻完結セット (KCデラックス アフタヌーン)
4作目は寄生獣です。
寄生獣は最近映画にもなり、それで知った方も多いのではないでしょうか?
概要
ある日突然、人間に寄生する多くの寄生生物が地球に同時発生した。そんな寄生生物のうちの一匹(のちのミギー)は主人公の新一に寄生を試みたものの脳を乗っ取ることに失敗し、右腕に寄生する。
寄生生物は元来「人間を食い殺せ」という本能を持っているものの、ミギーは新一の脳を乗っ取れていない為、そのような本能は持っておらず、自分が生き残ることを優先するという本能が強い。
人間を襲う寄生生物VSミギーと新一の奇妙なコンビの戦いが始まる。
このマンガは単なるバトルマンガでは片づけることができない深みを持った作品です。
それは読者への問いかけが多く隠されているからだと私は思っています。
例えばですが、
- 寄生生物は何のために存在しているのか?
- 人間の方がおかしいのではないか?
寄生生物はなぜ突如発生したのでしょう?そのはっきりした答えは明かされないまま物語は終わってしまいます。
しかし、その答えとなるであろう部分は物語の冒頭や後半に出てきます。
人間が地球にとっての毒なのではないかということを私達に考えて欲しいわけですね。
寄生生物の考え方というものは人間からすると相容れない考え方です。寄生生物に襲われた時、別の人間を盾にして逃げようとミギーが新一に提案したことに代表されるように、自分だけが良ければいい、自分が生きることが何よりも大事で他人なんかどうでもいいという考え方を寄生生物たちはします。
私達は他人を犠牲にして自分が幸せになるなんて考えられないと普通は考えるかもしれませんが、よくよく生物の本能に照らし合わせると、寄生生物の考え方の方が普通な気がします。
生物は自分のDNAを残すという本能を持っています。雄ライオンは雌ライオンを賭けて命がけで闘い、勝者のライオンは自分のDNAを持っていないライオンの子供を殺してしまうそうです。
それなのに人間のやっていることは非合理的なことをやります。自分の食べる分が減るかもしれないのに人間の数を増やそうとしたり、それどころか自分の食べ物を他人に分け与えたりしています。食べ物がなくて餓死してしまう人もいますし、いじめられて自殺してしまう人もいます。
本能に従えば、寄生生物やライオンのように自分以外のDNAには興味を示さず、自分が死ぬくらいなら他人を殺すはずなのに人間はそんなことをしません。
そんな風に考えると人間っておかしい生物ですよね。
寄生獣の読後はとてもモヤモヤした気持ちが残りますよ笑
5.ヒカルの碁 完全版 完結済み(全20巻) 小畑健(著), ほったゆみ(原著)
ヒカルの碁 完全版 コミック 全20巻 完結セット [マーケットプレイスセット](愛蔵版コミックス)
人の生き死にばかりがテーマになっている作品が続いているので、最後はもっときれいなテーマの作品を紹介します。
5作品目はヒカルの碁です。
私はヒカルの碁がむちゃくちゃ好きなので紹介させて下さい!笑
概要
主人公ヒカルはおじいさんの蔵をあさっていると、血の付いた古い碁盤を発見する。その血は神の一手を極めることなく自殺してしまった平安時代の棋士藤原佐為のものであり、ヒカルはその日以来佐為(サイ)に取り憑かれ、一緒に碁を始める羽目になってしまう。
ヒカルはインターネットを通し、様々な棋士たちとサイを戦わせた結果、現代のプロ棋士たちの間でも謎の最強棋士サイが話題になっていく。
ヒカルの碁は少年ジャンプなので、やはり努力・友情は大きなテーマです!(勝利はさほど意識していないので、そういった意味では少年ジャンプの中では珍しい作品かもしれません)
しかし、私が注目しているテーマはそんなありきたりのテーマではなく、サイという幽霊の存在意義から見えてくるテーマです。
サイ自身なぜヒカルの下で現代に甦ったのか分かっていませんでしたが、とある事件をきっかけに自分が甦った理由を悟ります。それはヒカルにたった一局の碁を見せる為!たったそれだけの為に何百年も幽霊としてさまよっていたのです。
作中では最強の棋士として描かれていたサイがたった一人の人間にたった一局の碁を見せる為に生きたということに、私は身震いを覚えました。一人の人間ができることの小ささに、やろうと思えば何でもできると思っていた中学生思春期真っただ中の私は絶望を覚えたのです。しかし、今考えると人間の生まれてきた理由なんて案外そんなちっぽけなものなのかもしれません。過去と未来を繋げる為の橋渡しとして生きているのです。
とは言っても、それだけでは終わらないことがこの作品のいいところです。サイは自分の存在理由を上述したように思いましたが、確実に他の人の心にもサイのことが残っているのです。
サイと肩を並べるくらい強い現代のプロ棋士である塔矢名人はサイが現代に甦った理由を「私と(碁を)打つため」と言っています。サイは自分の存在意義を塔矢名人と打つ為だとは思っていないでしょうけど、それもまた真実な気がします。
また名人と同様に、現代の棋士のほとんどはサイのことを心に留めています。それを考えると、とても小さいことでも何かやり遂げたら意図せずともそれは様々な人の心に残り、過去と未来を繋げる役目を果たすことができるというメッセージが込められているような気がしてきます。
関係ない話ですが、ヒカルの碁を読むと文豪中島敦の「山月記」に出てくる李徴(虎になった男)がより滑稽に映ります(同感して下さる方いますかね?笑)
さいごに
好きな作品を紹介しているのですが、自分の紹介の下手さに驚いています泣
ネタバレを抑えて面白さを伝えるって難しいですね。
もっと自分の作品への愛を人に伝える技術が欲しいものです。
しかしこんなへたな紹介でも、作品に興味を持つ人が出て、読んでもらえたら嬉しいです。